2012年10月03日
第2回 障害者政策委員会 第1小委員会
平成24年10月1日(月)開催された「第一小委員会 第2回」の中から一木さんの御意見部分を抜粋しています。
委員の皆さまありがとうございました。
障害者政策委員会第1小委員会(第2回)
議事次第
平成24年10月1日(月)
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/s_2/1/index.html
資料2
論点②【16 条④】
高等教育における障害学生支援に関する委員意見
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/s_2/1/pdf/s2.pdf
一木 玲子委員
1 障害のある人が高等学校・大学に入学できる制度へ
1) 選抜制度の見直し・改革
高等教育(大学等)における障害学生支援を論じる前に、障害のある子どもが高等学校に入学しにくい・できない事実について確認しておきたいと思います。
現在の日本の後期中等教育進学率は98%に達しており、準義務教育といっても過言ではありません。障害のある子ども後期中等教育を受ける機会は特別支援学校高等部により保障されているところが大きい状況です。しかし、特別支援学校ではなく高等学校に進学したいと考えている子どもにとって、選抜試験制度の壁により希望がかなわない状況があります。
先日、山口県の男性で知的障害・自閉症の方が3 年間公立高校に挑戦したが不合格、定員に満たない高校への入学を求めているという新聞記事がありました。16 歳人口の98%が進学している高等学校に、勉学に意欲ある人が入学できない現状に違和感を覚えます。
・・・簡単な文字を読んだり写したりは出来るが、文章を書くことは難しい。
だが、勉強は好きだといい「高校で国語の勉強や運動会がしたい」と話す。・・
(中略・・)母親は「手助けを一方的に受ける環境ではなく、地域と関わりながら育てたいと考えた。友達から怒られながら過ごすことで周りを見ながら動けるようになった」と話す。(2012 年9 月23 日朝日新聞)
同様に、大学に進学したいと思っている障害のある人にとっても選抜制度は大きな壁になっています。イタリアでは2011 年にダウン症の女性が文学の学位を修得しパルマ大学を卒業しています
(la Repubblica “Ragazza down si laureain Lettere “E ora vogliofare la maestro”” 22 marzo 2011, ラ・レプブリカ紙 「文学学士のダウン症女性、先生になりたいと語る」2011,3,22 )。
本人や保護者の思いを受け止め、豊かな学びへの第一歩を踏み出せるような選抜制度の改革や教育機関・自治体の取り組みを求めたい。
(2)大学入試における合理的配慮の提供
現行の重点5 カ年計画では、大学入試に関し、「障害の種類に応じた配慮を各大学に要請する」とあるが、これを以下のように改めたい。
「障害及び本人の必要に応じた配慮を、各大学及びセンター試験等大学入試関連の業務を実施している法人に義務化する。」
2 障害のある人が障害のない人と同等の高等教育を受けられる体制の整備
(1) キャンパスライフ全般にわたる合理的配慮の保障
授業や講義という直接的な教育行為のみではなく、学校生活全般にわたる活動を教育活動ととらえたばあい、通学からサークル活動等にいたるキャンパスライフの範囲で合理的配慮を保障することが他者との平等の確保といえます。
(2) 学外との連携による資格取得や就職活動の保障
高等教育機関の役割の一つに資格取得の保障がありますが、その機会が保障されていない現状があります。例えば視覚障害者や聴覚障害者が教育実習に行く場合、情報保障や移動保障等の実習校の体制確保の困難性から普通学校の受け入れが難しいという実態があります。本人が普通学校を希望しても、それがかなわない場合は特別支援学校での実習受け入れを依頼することになります。特別支援学校は体制が整っており視覚障害実習生の受け入れ経験が多い分、申し分がない実習をさせてもらえるという利点はありますが、本人が実習先を公平に選択できないのは差別といえます。
教育実習中における情報保障や移動保障の人員配置、補助機器の設置など本人が必要とする合理的配慮の保障を、教育委員会や文科省等の責務とするなどの体制整備が必要です。障害のある教員の雇用促進が言われていますが、採用試験における合理的配慮の保障と共に、その前段階にある障害のある学生が障害のない学生と同等の条件で教員免許を取得できる体制保障が必要です。
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◎分けない社会は、分けない教育から!!◎
Posted by 会員
at 03:27
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