2008年08月06日
7月29日の『要望書』
昨日、香川大学の帰りにちゃんがセレクトして買って帰ったハガキです。
”はやく、光の方へつれていっておくれラビ~”
香川県教育委員会教育長様
障害児を普通学校へ・全国連絡 香川
インクルージョン実践研究会 香川「障害児・者」の高校進学を実現する会
要 望 書
障害のある生徒の学校生活につきましては、日頃からご支援及びご尽力いただきお礼申し上げます。
私たちは、1995年依頼、障害のある子もない子も共に学び合える学び舎としての、「心のバリアフリーとユニバーサルデザインの学校」の実現を求めて13年間活動してまいりました。香川県の義務教育すなわち初等教育、前期中等教育におきましては、親が望めば、障害があっても普通学級に在籍することができ、障害のない仲間たちと共に学校生活を送ることができ、「心のバリアフリーとユニバーサルデザインの学校」の実現に向け教職員の方々にもご尽力していただき、学校全体でノーマライゼーション社会実現に向け日々取り組んでいただいております。
しかし、高校教育すなわち後期中等教育におきましては入学者の選抜が行われておりますので、障害があるがゆえに選抜されにくいというのが今日の現状であります。特に、学力試験で点数が取れない等の知的な障害のある生徒(知的障害児・者)にとっては、今なされている選抜方法では定員割れを起さない限りは、決して選抜され得ない非常に厳しい制度となっておりますし、たとえ定員割れを起したとしても多くの定員内不合格者を出している香川県においては知的障害のある生徒はほとんどは選抜されないという現実が続いております。その結果、香川県の後期中等教育(高校教育)におきましては全日制高校における知的な障害のある生徒のノーマライゼーションはまったく行われていないと言っても過言ではないと思われます。
2006年2月における経済産業省リポート『社会人基礎力に関する研究会・中間取りまとめ』によりますと、「従来は『学力』を測定すれば『社会人基礎力』はついてくるという考え方だったが、最近は『学力』と『社会人基礎力』をそれぞれ個別に評価する必要がある。」と述べられております。『社会人基礎力』とは『基礎学力』と専門知識を社会で活用していくための力として位置付けられており、「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」と定義されています。
また、そのリポートは「『社会人基礎力』を構成する能力には①”チームで働く力”(チームワーク)・・・多様な人とともに、目標に向けて努力する。②”前に踏み出す力”(アクション)・・・一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力。③”考え抜く力”(シンクング)疑問を持ち、考え抜く力。の三つがあり、これらは、単独で機能するのではなく、融合して『多様な人々とともに仕事を行っていく』力になるのです。現在の日本のこどもたちはこの力を自然に体得するための環境に乏しい。」と報告されています。
このような力を子どもたちが体得するには、後期中等教育で多様な障害のある生徒と共に学びあう教育環境の構築が必要であると考えます。
また、我が国において障害区分は「身体障害」「知的障害」「精神障害」の三種があります。同じ障害者であっても、点数が取れる「身体障害」「精神障害」と比べると、高校の入学者選抜で点数が取れないという障害のある「知的障害」に関しての正しい理解が教育行政においてなされていないため、「知的障害」のある生徒は常に高校教育(後期中等教育)から排除されてきました。そのため、障害の種類による差別が当然のように行われており、高校教育(後期中等教育)においての「知的障害」のある生徒に対するノーマライゼーションは一向に進んでいっておりません。このような現状を打破するためには、教育県香川として、全国に先駆け『高校教育(後期中等教育)ノーマライゼーションプラン』を策定し、モデル校を作り、支援体制を強化するために、また、開かれた学校にするために福祉と教育を連携させ、差別のない教育環境を整え、『社会人基礎力』を体得できる学校をつくり、人権文化の構築に積極的に取り組んでいただきたく下記の事項を要望いたします。
記
1、 香川県における障害児の普通学校在学及び普通高校進学の経験と実践の蓄積を踏まえ、「総務課」企画・財務グループ、「高校教育課」教育改革グループ、「高校教育課」及び「義務教育課」教育指導グループ、「高校教育課」総務・施設グループ、「特別支援教育課」、「保健体育課」保健グループ、「人権・同和教育課」の関係各グループで障害児の高校進学・高校教育に、横断的に取り組む主幹級の実務者会議を設置し、当事者団体等と意見交換しながら『高校教育(後期中等教育)ノーマライゼーションプラン』を策定し、プロジェクトチームを立ち上げ、障害のある子もない子も共に学び合う共生モデルの高校を作って、高校教育(後期中等教育)のノーマライゼーションを推し進めてください。
2、 障害のある生徒に対する「特別措置」において、「自己申告書」(代筆可)の提出も行い、障害のある本人及び家族の生き方への理解を深める手だてとしてください。
3、「特色選抜」においては、一貫したユニバーサルデザインの理念のよる教育と社会の実現のため、「障害のある生徒で、現住所から通学至便な公立高校を希望し、その他の公立高校に通学することが困難と認められる者」について、その障害による不利益を軽減し、かつ教育を受ける権利を保障するため、あらかじめ若干名の受け入れが可能となるよう制度を改善してください。
4、障害をもつ生徒の高校生活について理解を深めるため、また、新たに障害をもつ生徒を受け入れる高校の教員が香川県の実績と経験を活用できるように、香川県内の公立高校を卒業した障害のある生徒の人数及び在学中の配慮事項等の資料を作成してください。
5、 現在、障害のある生徒を受け入れている高校間で、高校生活に必要な配慮・工夫(授業の取り組み方、加配の教員の関わり方、定期試験や評価における配慮、施設設備の改善等)について、校長・教頭・実際に担当している教員が、情報を交換し話し合う機会を増やし、資料を作成してください。
Posted by 会員
at 12:36
│Comments(0)