2008年04月28日

『障害児殺しの思想』 横田弘著(JCA出版 1979年発行)

先週(2008年4月)、テレビのニュースが伝えた・・・
「発達が遅れている」ことを苦にして、母親が幼い子を殺し、自分も手首を切り、自殺未遂となったと・
・・

なぜに、日本は悲しい物語が繰り返される国なのか

《障害児は何故殺されなければならないのか》

また、一人、障害児が殺された。
歩けないということだけで、
手が動かないというだけで、
たったそれだけの理由で、
「福祉体制」のなかで。
地域のひとびとの氷矢のような視線のなかで、
その子は殺されて行った。

1978年2月9日、
何気なく見ていた午後11時のテレビニュースが、
さりげない口調でこの事件を伝えたとき、
ストーブが暖かく燃える部屋にいながら、
私は一瞬のうちに自分の内側が凍りついた夜の荒野に
彷徨い出ていくのをしっかりと捉えていた。

「殺された障害児」が私と同じ横浜、
しかも、日本脳性マヒ者協会「青い芝」神奈川連合会の事務局が存在する、
港北区内に住んでいたということもあるかもしれない。

今年になってから朝日新聞で報じられただけで、
もう、3,4件の障害児が殺される
ということが重なっているせいかもしれない。

しかし、そうしたこととは別に、私は今度の事件の底に、
言い知れぬ私自身の黒い未来を見い出した想いだったのだ。

何故、障害児は殺されなければならないのだろう。
なぜ、障害児は人里はなれた施設で生涯を送らなければならないのだろう。
何故、障害児は街で生きてはいけないのだろう。
ナゼ、私が生きてはいけないのだろう。
社会の人々は障害児者の存在がそれ程邪魔なのだろうか。

私の胸には、三、四日前に、
事務所に配達された一通のはがきの言葉がフッと蘇ってきた。


 人間としての権利を奪われたとは何事だ!
 お前達片端者は世の中を遠慮して
 ソット生きていけ!
 それでこそ始めて我々五体健全な人達から
 同情を得られるぐらいの事はいくら脳性馬鹿でも解ると思う
 親の因果が子に報い!
 因果律という言葉を知らないか?!
 逆上せ上るのも程々にしろ!
 片端者奴
 (一市民より)


1979年1月に発行された『障害児殺しの思想』は、このような書き出しで始まっている。




Posted by 会員  at 01:12 │Comments(2)

この記事へのコメント
何年か前テレビで障害のある人がバスケットをしたり水泳をしたりしているのを観て嬉しくなったのを覚えている。もしも 私が障害者になってもやれる事があるんだと知ったから。みんなが『もしも』と考えをめぐらすことができたら今より生きて生きやすくならないかな
Posted by もしも at 2008年05月16日 18:33
「もしも」さんコメントとありがとうございます。(ペコリ)

そうなんですよ!
小さいときから、排除しないで地域の学校で障害のある子とクラスメイトとして一緒に助け合って学んでいたら、健常児といわれている子が中途障害になっても、障害=死んだと同じほどの絶望感を感じなく、「そうだ、小さいときから障害のあった○○ちゃんもみんといっしょに生きていたなあ」と、前向きに
生きる力も自然と身についていくはずなんだけど・・・。なぜに~、この国は障害のある子を分けたがるのか、私には理解できません。
Posted by 会員会員 at 2008年05月17日 06:17
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