2009年08月25日
「香川障害フォーラム」からのアンケート調査
8月30日投票の衆議院選挙の参考にどうぞ~、障害福祉施策にたいするアンケート結果です。
2009年衆議院議員選挙における香川障害フォーラムが
実施したアンケート調査による各党の回答
Q1.障害者の権利条約、障害者差別禁止法等について
2006年12月、国連で障害者権利条約が採択され、2008年5月には条約が発効しました。日本政府は条約の批准にむけて国内法の整備などの準備を進めています。昨年12月には障害者施策推進本部・推進課長会議より、「障害者権利条約の締結に際し必要と考えられる障害者基本法の改正事項」として8項目が示されました。しかし、障害者団体からは障害者差別禁止法制定や独立したモニタリング機関創設の道筋が示されておらず、条約批准の条件としては不十分との指摘があります。障害者権利条約の批准に当たっての条件についてどうお考えですか。以下あてはまるものに○をしてください。
民主党
障害者推進本部の言う8項目だけでは不十分であり、障害者差別禁止法やモニタリング機関創設の道筋を示すことが必要である。
自民党
障害者推進本部の言う8項目だけでは不十分であり、障害者差別禁止法やモニタリング創設の筋道を示すことが必要である。
共産党
障害者推進本部の言う8項目だけでは不十分であり、障害者差別禁止法やモニタリング創設の道筋を示すことが必要である
Q2.障害者差別禁止法について
世界の40カ国以上が障害者差別禁止法を持っています。また、2001年に国際連合の社会権規約委員会から日本は障害者差別禁止法を制定するようにとの勧告も受けています。今後、障害者の権利条約を批准していくにあたり、条約の理念を活かすためには、現行の国内法の整備だけでなく、障害者差別禁止法等、どういったことが差別に当たるのかを明確に規定する法律の制定が必要という声が上がっています。こうした、障害者差別禁止法の制定について、どのようにお考えですか。
民主党
障害者権利条約の批准に向けて、障がい者制度改革推進本部を設け、障害者差別禁止法の制定を含め、国内関連法の整備に取り組みます。
自民党
世界と足並みをそろえ、人権を重視する国家としての範となるべく障害者差別禁止法は制定すべきだ。
共産党
障害者差別禁止法の制定が必要です。現行の障害者基本法の差別規定だけでは不十分であり、障害者権利条約をふまえた上で、裁判規範性をもち、権利侵害などへの具体的な救済策をもりこんだ、実効性のある差別禁止法の制定をめざします。
Q3.障害者自立支援法について
平成18年に施行された障害者自立支援法は法の附則に施行3年後の見直しが規定されており、今年度がその見直しに当たります。政府・厚生労働省は昨年より見直しに向けて議論を続け、今年3月に障害者自立支援法の見直し法案を国会に提出しました(解散により廃案)。貴党はこの法案や障害者自立支援法の見直しについてどのようなお考えをお持ちですか。
民主党
民主党は、障がい者等が当たり前に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる社会を目指します。「障害者自立支援法」により利用料の負担増で障がい者の自立した生活が妨げられてしまったことから、障害者自立支援法は廃止し、「障がい者総合福祉法(仮称)」を制定します。
自民党
一定の前進ではあるが所得保障をはじめいろいろな面でまだまだ不十分と考える。引き続き現場の意見を尊重しつつ改善していかねばならないと考える。
共産党
「改正」法案は、「応益負担」をやめてほしいという障害者団体の運動におされて条文を「応能負担」に書き換えました。しかし、実質的にこれまでと変わることなく、原則1割の「応益負担」を残し、2回にわたっておこなわれてきた負担上限の軽減の額を踏襲するといいます。「改正」法案の内容は、こうした「応益負担」の問題をはじめ、みなさんの切実な願いを反映していません。
憲法25条の生存権理念に照らせば、本来障害者福祉と医療に負担を求めるべきではありません。日本共産党は、障害者自立支援法を廃止し、すべての障害者を対象にした総合的な「障害者福祉法」の制定をめざしています。そのもとで、応益負担の廃止をはじめ、障害程度区分の見直し、新事業体系の再構築などを実現したいと考えています。
Q4.障害の範囲について
日本の人口に占める障害者の割合は4~5%、欧米諸国では15~20%近くと言われています。日本の障害認定の基準(障害者手帳の認定)が狭いため、対象者が少なくなっています。障害者自立支援法においても、問題の多い障害者手帳の基準に当てはまる人だけに対象者が限定されています。サービスが必要な難病者等が利用できないまま「制度の狭間」が生じており、09年の通常国会に上程されていた改正案でも難病等の問題が解決されていません。制度の狭間を生まない包括的な障害の範囲へ転換すべきと考えますが、これについてどのようにお考えですか。
民主党
発達障害、高次脳機能障害、難病、内部障害なども対象として「制度の谷間」をなくします。
自民党
15%~20%という数字はおいておくとして、不当に障害者の認定が厳しいのは問題である。必要な人に必要な支援をという基本の考え方に従うべきである。
共産党
日本の障害の範囲はきわめて限定的であり、本来福祉サービスが必要な人がサービスを受けられない事態になっています。国際的には日常生活を送る上での困難さなどをもとに障害の範囲を決めています。日本も障害者権利条約の批准がせまられている中、国際的な水準にあわせ、「障害」そのものを広くとらえる方向にすすみ、障害者手帳制度、関連法を見直すべきです。日本共産党は、障害者自立支援法は廃止し、制度の狭間におちいらないよう、すべての障害者を対象にした総合的な「障害者福祉法」の制定をめざしています。
Q5.地域移行について
障害者自立支援法は障害者がどんなに障害が重くても施設や病院ではなく地域で自立した生活をおくれることを大きな理念・目的の一つとして掲げています。しかし、法施行後も施設の入所者はほとんど減少しておらず、厚生労働省のデーターでも「施設からの地域移行者」を倍する者が新たに入所していることが明らかになっています。7万2千人といわれる精神科病院の社会的入院患者(地域生活基盤が整えば退院可能な者)の地域移行も進んでいません。地域移行には、地域の基盤整備が不可欠であり、地域の社会資源を拡充するための根本的な政策転換が必要です。こうした状況についてどのようにお考えですか。民主党
障がい者等が当たり前に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる社会をめざします。精神障がい者を中心とした社会的入院患者の社会復帰と地域生活の実現に向けて関連法制度の整備等を進めます。
自民党
地域移行以前の問題が解決されていないと考える。地域移行は方向として間違っていないと考えるが、そのために必要な施策が十分に実施されていないのはご指摘の通りである。
共産党
障害者自立支援法は「自立」のためでなく、そもそも財政抑制のためにできた法律であることが、最近の自民党の障害者問題の責任者へのインタビュー(週刊社会保障4月20日号)でも明らかにされています。これでは、精神障害者の社会的入院の解決も、地域移行もすすむはずがありません。基盤整備を集中的にすすめるために、日本共産党は自立支援法にかわる新しい法制度のもとで、「障害福祉基盤の緊急整備5ヶ年計画」を策定し、特別立法を制定する提案をしています。基盤整備や社会資源の拡充は、障害者福祉予算の抜本的な拡充なしにはあり得ません。生存権にもとづいた、国民のくらしを支える政治の流れへの転換が不可欠です。
Q6.知的障害者・精神障害者の長時間介助について
知的障害者や精神障害者も、いわゆる見守りを含めた長時間の介助を受けることができれば、地域で自立した生活を送れる人が沢山います。しかし、現在の障害者自立支援法では、知的障害者や精神障害者が居宅内で受けられるサービスは、短時間の家事援助だけです。そのため、本来ならば施設や親元からでて、地域で自立した生活を送られる人も、サービスがないために地域移行できないという問題が起きております。身体障害者は、重度訪問介護という居宅内外での見守りを含めた長時間介助のサービスがあり、これを活用して自立した生活を送っています。知的障害者と精神障害者も重度訪問介護を使えれば、地域移行が大きく進むと思われます。貴党は知的障害者と精神障害者の長時間介助の制度についてどのように思われますか?
民主党
知的障がい者・精神障がい者が地域で自立した生活を送りやすくなるよう、サービスの内容を見直します。
自民党
長時間介助も本来制度化すべきである。障害者は社会が責任を持って自立支援するという大原則を実現しなければならない。社会の生産効率のみを追及する時代ではない。
共産党
障害種別でサービスを分けるのでなく、個々の障害者の生活実態とニーズにそくして利用できるようにすべきです。国に十分な財政保障をおこなわせ、知的障害者と精神障害者の長時間介助を当然実施するべきです。
Q7.国庫負担基準について
障害者自立支援法では、居宅サービスも義務的経費にしたといわれていますが、国庫負担基準額という上限が設けられました。この国庫負担基準は長時間介助には対応しておりません。そのため、多くの市町村は独自負担が増えることを恐れて、本来必要な時間数の支給決定をせず、国庫負担基準を市の支給決定の上限にしているところもあります。今年度より「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」が実施されておりますが、3年間という期間限定の事業であること、中核市と指定都市は対象外、市町村への支援額は都道府県の裁量によるので不安定、という問題があります。貴党は国庫負担基準についてどのように思われますか?
民主党
障がい者が地域で自立した生活を送るために必要なサービスを受けられるよう、国庫負担基準について見直します。
自民党
国庫負担金基準に上限はあってはならない。障害者支援は財政問題ではない。
共産党
国庫負担基準が事実上自治体の支給上限額になっている問題は、日本共産党国会議員団が自治体に対して08年におこなった調査でも、改善を求める声がよせられています。障害者にとっても自治体関係者にとっても足かせになっている国庫負担基準は、抜本的な引き上げを含めて検討し、義務的経費にふさわしく、必ず国がおこなわれたサービス支給を自治体に財政保障するよう、改めるべきです。
Q8.人材確保について
障害者自立支援法施行以来、障害者のホームヘルプ事業は人材確保がままならない状況です。特に重度の方が利用する重度訪問介護は泊まりを含めた長時間の介護が必要であることや同姓介護者の確保などから、その状況は困難を極めています。様々な媒体を使い求人をしてもヘルパーの応募は来ませんし、現職のヘルパーも離職率が高く将来の不安から次々と職場を後にします。残っているヘルパーはさらに厳しくなった状況の中での重労働を強いられ、心身ともに疲弊している状況が多く見受けられます。この状況が続けば重度障害者の地域生活を支える基盤は崩壊していくおそれがあります。貴党ではこのような現状をどのように認識しておられ、またどのような対策を講じますか。
民主党
障がい者福祉現場の労働条件は厳しいと認識しています。労働者の待遇を改善するために、施設整備費および人件費等について単価を引き上げて整備すること等、事業者の経営基盤を強化することを検討しています。
自民党
一番大切なことはヘルパーの社会的地位の向上、重要性の社会的認識醸成。その上で待遇を改善すること。ただ闇雲に待遇改善すればよいというものではない。
共産党
日本共産党の調査でも、報酬単価の引き下げによって減収になった事業所は実に97%にのぼりました。また、募集しても職員が集まらない事業所が6割近くにのぼり、「このままでは事業の閉鎖もやむなし」など悲痛な声が多数よせられています。福祉を支えるのは人ですから、やりがいをもって働き続けられるよう、国が責任をもつべきです。事業所に対する報酬単価を大幅に引き上げます。日本共産党は福祉労働者に1人月額3万円の賃金アップを公費投入により実施させる提案をしています。その財源は約1000億円程度です。
Q9.障害福祉予算について
障害者施策は従来の施設入所・入院の隔離収容施策中心から、地域生活、在宅サービス中心の施策へと理念転換が図られてきています。この理念を実体化していくためには地域におけるサービス基盤整備が重要です。しかし、どんなに障害が重くても誰もが地域で生活していくためには、障害福祉サービスの予算が絶対的に不足しています。国際的にみても日本の障害福祉にかかる予算はOECD諸国に比べ低い水準である事が明らかになっています。障害福祉施策の拡充、特に地域生活支援にかかる予算拡大についてどのようにお考えですか。
民主党
地域生活支援にかかる予算を含め、障がい者福祉予算を増額していきます。
自民党
障害者福祉に要する予算は財政の問題ではない。純粋な社会的負担であると考える。必要なものは拠出しなければならない。障害のないものはそのことを感謝すべきだ。
共産党
国がどれだけ障害者福祉の財政負担をしているかは、障害者の人権をどれだけ尊重しているかのバロメーターです。日本は人権後進国であり、大幅な増額が必要です。国際的にみると、国内総生産にしめる障害福祉費の割合はスウェーデンの7分の1、ドイツの3分の1(2005年、OECD基準)など、世界の基準からはほど遠い額です。経済大国にふさわしい水準に引き上げるべきです
地域生活支援事業は、社会参加のために欠かせない大事な事業です。今年度の地域生活支援事業の補助金は、自立支援法発足後はじめて増額になったものの、たった440億円です。これでは自治体の必須5事業の100%実施にはまったく不十分であるばかりか、自治体の超過負担も解消されません。国が抜本的に予算を引き上げるべきです。
Q10.介護保険の対象年齢引き下げについて
障害者自立支援法は2004年当時、介護保険と障害者施策の統合をにらみ出されたグランドデザインをもとに法制化されたものであり、その基本的な制度のしくみは介護保険と類似しています。それゆえに利用者負担や障害程度区分など様々な問題が生じており、2007年2月に開催された厚生労働省の検討会では、ヒアリングに出席した全ての障害者団体から「反対」または「慎重な検討」を求める声が相次ぎました。介護保険制度の被保険者・受給者の拡大(対象年齢の引き下げ)は障害者施策にも関わる大きな問題です。これについてどのようにお考えでしょうか。
民主党
介護保険制度については、介護基盤整備や介護労働者の待遇改善、要介護者のニーズに合った要介護認定基準の構築などが急務だと考えています。その上で、将来にわたって持続可能で安定した制度となるよう制度改革についての検討をすすめます。
自民党
介護保険の対象年齢引き下げには反対の立場である。本来介護保険と障害者施策は趣旨が違う。障害者施策は目標としての自立がある。介護保険年齢の引き下げは行政側の財政的理由ではないかと危惧する。
共産党
日本共産党は、介護保険と障害者福祉の統合には一貫して反対してきました。障害者にとって「統合」は、障害者の生活実態を無視したものであり、介護保険の被保険者・受給者の拡大は、国民に負担増を求めるものだからです。政府は「統合」をあきらめたかのように装っていますが、実際に「改正」障害者自立支援法で「応益負担」のしくみを残していることから、「統合」のねらいが完全に消えてはいないと思われても仕方ありません。
Q11.社会保障費の削減について
社会保障費の2200億円の削減の方針を今年度は見送る報道がされています。社会保障費はこれまでも2002年から毎年削減されてすでに限界にきており、国民生活に必要なセーフティーネットは穴だらけになっています。自然増分の社会保障費削減をやめるだけでなく、未だ整備されていない福祉に十分な予算をとり、新たな制度を整備したり、セーフティーネットの機能強化をしていく必要があると考えます。今後の社会保障費のあり方についてどのようにお考えですか。
民主党
年2200億円の社会保障費削減方針は撤廃します。国民皆年金、国民皆保険、障がい者福祉の拡充、セーフティネットの拡充に必要な財源を確保します。
自民党
繰り返しになるが社会保障費は財政的な上限があてはまる項目ではない。必要なものは支出すべきだ。削減など現状では非常識極まりない。我が国も先進国と言われるわけであるから経済投資だけを追及すべきではない時期に来ている。
共産党
もともと日本の社会保障予算はヨーロッパなどと比べて低水準でしたが、そこに2200億円の削減方針が加わったために、いま、主要な資本主義国では日本しかない異常な事態があらゆる分野で引き起こされています。障害者福祉も「応益負担」が持ち込まれているのは世界で日本だけです。日本の社会保障支出はGDPの19・1%であり、諸外国より大きく立ち遅れています。「所得や資産などの能力に応じて負担し、給付は平等に」という応能負担の原則で税や社会保険料を改革し、国の歳出の浪費を見直すならば、社会保障を拡充する財源は確保できます。消費税は、所得が少ない障害者いじめの最悪の税制であり、増税には反対です。
社会保障の拡充は、現在のくらしを支え、将来不安を解消し、個人消費をあたためるととともに、新たな雇用を生み出すなど、地域経済を活性化させる大きな経済効果もあります。日本共産党は生存権をすべての国民に保障するという立場から、社会保障費を諸外国なみに抜本的に引き上げるべきだと主張しています。
Posted by 会員
at 02:39
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皆さんは、如何思いでしょうか?難病患者にとって、痛み苦しみ、差別などいろいろな大変な思いをされています、果たして候補をされている方は、理解されているでしょうか?カッコいいマニフェストが生かされてこそ選挙の意味が有ると思います。
当事者の声を届け、国の施策につなげていくには、どうしての当事者たちの努力が必要なんですよね~、生きているだけでも大変なのにねえ!
よりよい政治家(決して政治屋ではない)をワタシタチは選ばなければと思います。
宇宙飛行士の写真、送っていただければこのブログでもみなさまにご紹介したいと思います。
「改正案」が通るのが良かったかどうかというより、政治的思惑でキチンと国会で法案が審議されないことはとても腹立たしいことですね。
選挙の結果がいかなるものであろうとも、国会がきちんと「議論する場」になってくれることを望むばかりです。
私たちのことを真剣に考えてくれている議員さんもいます。発信することが大切だと思います。いろいろなつながりから、開けてくると希望を捨ててはいません。